拍手ありがとうございます。
 スーパームーンの呟きからでしょうか?

 本題。
 即興小噺。つまり、推敲なし作品!!
 ツイッターの会話からです。

チョコレートは油脂と砂糖

チョコレート 実質0カロリー

チョコレートはくすり 






 と言う事で、書いた。

(2019/2/14追記)清書して、正式にアップしました。





「ふぅ」
 フローラはペンを置いて、伸びをした。
 大きな窓から金色の光が降り注ぐ。明るすぎる満月が、西の窓から覗き込んでいた。
「もう、こんな時間」
 視線を机上に戻す。机の上に積まれた書類は、ようやく目途が立ってきた。
 書類に目を通して承認印を押すだけの仕事なのだが、こんなに時間がかかるとは思わなかった。とにかく量が多い。そして、決まったフォーマットに書かれたそれは、酷く単調で、読んでいて面白くなくて、退屈だ。だが、おざなりに目を通すと、とんでもないものを承認しかねない。実際、10件に1件くらいは、判を押さずに処理済みの棚へと放り込んだ。
「慣れればもう少し早く処理できるのかしら……」

 父が病で倒れて、父のやっていた政務の全てがフローラに託されたのは、ほんの数日前だ。
 今のところフローラは臣下達の期待に応えられているようだ。だが、少しでも間違えば評価は一変する。それが、フローラは恐ろしい。「流石姫様」と言っていた連中が「小娘如き」と言い出すのが。良い評価をひっくり返すのは楽だが、悪い評価をひっくり返すのは難しい。
 だから、間違えられない。
 父の横で宮廷の悲喜劇を見ていて得た教訓だ。

 机の上に積まれている書類は、朝までに処理しないといけないものだ。
 臣下からの評価を下げないためにも、仕事を滞らせる訳にはいかない。
「もうひと頑張り……ね」
 そう言いながら、視線を再び窓に向ける。
 金色よりも銀よりの月が空を照らしている。空の色もいつもよりも明るく青い。藍に近い紺色だ。

 一人で仕事に精を出している姫の元に、内緒で交流のある若い兵士が忍び込む。
 短い逢瀬。その間だけ、姫は一人の女の子になり、少年ととりとめもない事を語り合う。
 最近読んだ大衆小説だ。
 あり得ないから、面白い。夢のようだから、皆が楽しむ。
 そういうロマンスを、人々は好む。
「今日は、月が綺麗ですねぇ」
 しかし、カール王国において、それは夢ではなかった。
「アバン」
 月が覗き込む大きな窓が、音もなく開く。そこから現れたのは、銀の月より銀色の髪を持った少年――ただし、ほっかむりでその特徴的な髪は見えないが。
「こんばんは」
 カールのお姫様の元には、たまに下っ端兵士が遊びに来る。
 ……ロマンスではないけど。

「お仕事頑張っていますね」
 ほっかむりを外しながら、アバンがフローラの執務室に入ってくる。銀色の髪が満月に照らされて、神秘的な光を放つ。
 しかし本人は全く神秘的ではなく……
「はい」
 と言って、何か小さな塊をフローラに向かって放り投げた。
 彼女は反射的に、口で受け止める。
「ん?」
 口の中に器用に入ったそれは、すぐに溶け始めた。甘さと苦さの混ざったこの味は――
「チョコレート? 美味しいわ」
 そう言ってアバンの方を見ると、ぽかんとした表情を浮かべていた。
 驚いていような、呆れているような。
「どうしたの?」
「いや、まさか、いきなり食べてしまうとは……」
 こちらに向かって投げておいて、どういう言い分だ。
「いや、普通逃げるか、手で取るでしょう? まさか、直接口に入れるとは思いませんでして……」
 面食らったと言う事だ。
 アバンに一泡吹かせた事が、少し愉快で、フローラは胸を張る。
 いや、そこは恥じ入るところでしょう、と言いたげだが、気付かない事にした。確かに、投げられたものを直接口で受け取るのは、はしたないし、危ない。
「相手が貴方だから、やるのよ」
 ほかの人なら、絶対しない。逃げる。
「本当に、逃げてくださいよ」
「逃げる、逃げる」
 本気で心配そうなので、何度もうなずいた。
 一応自分の立場は自覚している。この書類の山と戦っている姿で、信じて欲しい。

 フローラは仕事に戻り、アバンは窓枠に行儀悪く座ってその様子を眺めている。
「忙しそうですね」
「そうね」
 そう言いながら、目と手を動かす。アバンはそんなフローラを見ながらくつろいでいる様だ。その姿が、仕事をしているフローラの心を安らげる。
 義務感だけでこなしていた仕事が、少しだけ楽しく感じる。
「慣れるまでは、大変だと思うわ」
「そんな貴女に、お土産ですよ」
 アバンはぴょんと窓から降りて、フローラの机の前まで来た。
 そして、手のひらサイズの袋を処理済みの書類の上にポンと置く。
「先ほどのチョコレートの残りです。夜、お仕事が大変な時に、食べてください」
「……ありがとう」
 異常なまでに可愛くラッピングされた袋を持ち上げる。思ったよりずっしりとした。結構入っている様だ。
「市場で良いチョコレートを見つけましてね。作ってみました、トリュフと言うんですよ」
「知ってる……好きよ」
 良かった、とアバンは微笑む。
 口に入れた瞬間溶けるような感覚。普通のチョコレートよりも甘く柔らかい味。自制しないと延々と食べ続けてしまうそれが、アバンの手によって、更に食べやすくなっていた。
 しかし……
「こんな時間に甘いものなんて……」
 先程食べておいてなんだが。夜中の食事は、美容と健康の天敵だ。
「ノンノンノン!」
 アバンが大袈裟に首を振って否定する。
「甘いものじゃありません。これは、元気の出る薬ですよ」
 だから、はい。
 そう言ってどこからか、丸いチョコレートを放り投げる。
 フローラは、口で受け止めてから、こちらからもチョコレートを投げた。
 アバンも口で受け止めた。
  • 2019.01.23 Wednesday
  • 妄想な事
  • 21:53
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  • by 朝来みきひさ

  • 2019.08.10 Saturday
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